令和のドブ釣りレポート その4

投稿者: | 2019年11月12日

【落ちアユ釣りの楽しさ】

今年10月の台風の被害は大変なものであった。

80年以上も生きてきた者にとっては、10月とは秋晴れで、運動会や旅行やら催しものが沢山あって、紅葉の美しい一番充実した楽しい季節だ。

しかし、本年の台風19号は東日本に多大な災害をもたらした。一日も早い被災地域の復旧をただただ願うばかりだ。

もう釣りもやる気を失せて、竿や道具、そして衣類など半分は整理をし始めたそんな時、静岡の釣友(香鱗会会長)角谷さんから電話があった。角谷さんのもとに富山の友人から10月16日再解禁となった神通川の有沢橋下手で釣れているという情報が入ったのだという。早速静岡から車で6時間半かけて飛んで行き、一日で40尾も釣れ、なんと最大27センチで、ハリス0.6の毛バリが3本も切られたという。

そんな情報に、今年は終りと思っていたが「問答無用」で出漁することにした。

11月1日(金)は3連休の前日で、しかも北陸新幹線が3日前に開通したばかり。一般の座席は満席状態。あきらめかけたがグランクラスという新幹線のファーストクラスが1席だけあいていた。食事や飲み物は全て無料サービスとのことで、東京~富山の2時間半を思いがけず楽しんだ。

もっと良いことがあった。格別の美人乗務員と親しく会話ができたことだ。彼女は金沢の人という。サービスのスコッチウィスキーを一気に飲み干すと、「そうだ!これにあやかって、神通川の当りバリ“加賀美人”で翌朝勝負するぞ!」っと、作戦を変更をした。

2日早朝、富山大橋真下の渕に入川。昨日の美人の顔を思い出しながらピンクラメ底に黒七面鳥のすかし巻、そして帯はシルバーと、しゃれた装束の毛バリ「加賀美人」を一投目。強烈な当りがあったがスレだろうかバレた。

三投目は25センチ級の大型がヒット。ビクに入れるまで3分~4分は必要だ。当りの半分はバレたがそんなこんなで昼までに25尾。当りは最初は根掛りしたような感じで、しばらくそのまま次の引きを待っていると、強烈な引きに合う。そして3度4度の絞り込みを楽しみながら手元に寄せる。これが落ちアユ釣り独特のアタリである。

日が昇ると浅瀬にはアユが何百尾も捩(もじ)っているのが見える。

廻りを見ると10年来の知り合いの名人達が竿を立てている。地元のケーキ屋さんやら、見たことのあるMさんの特製のビクは3年前亡くなったDさんのかたみとか。

また、「おわら風の盆」の越中八尾からのTさんは「興浅」を改良した小バリで、入れ食いだ。みんな東京・静岡からの4名をお客様と言ってとても親切にしてくれる。椅子まで用意して下さり20年来の友人として迎えて下さった。アユ釣りを通しての友人である。

 

釣果はその日の午後は15尾追加で40尾台。

翌日も同じようなもの。

しかし、落ちアユ釣りの魅力は魚より人間関係にあるようだ。

地元富山や金沢から、そして東京・静岡と15名ほどのファンが一つの渕、即ち釣り場で仲良くコミュニケーションが取れるのはアユ毛バリ釣りならではのことだろう。

竿を納めての挨拶は「又来年ご一緒しましょう!」である。

これで今年の竿納めとし、富山から岐阜県経由で私の第二の故郷である上高地と乗鞍の紅葉を楽しんで帰京した。

 
写真は①静岡角谷さん ②富山大橋下の渕

追記

人間は生きるために仕事をする。即ちお金を得るために働く。人は経済のために勉強そして努力を惜しまない。

一方遊びや道楽は無償の行為、また義務もないから一生懸命やらないと崩れてしまう。時には働く以上にやらないと楽しい釣りが出来ないのだ。

アユ毛バリ釣りという道楽には発想→想像→創造が…。

仕掛け、道具そして毛バリなどクリエイティブが肝要なのである。

 

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